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武川 和憲Take

2022.10.10

対談「色で歴史を、形で未来を」 院庄林業様の企業ロゴマーク制作秘話

岡山県北・美作地域から、全国的に大きなシェアをもつ木材メーカー、院庄林業株式会社様の企業ロゴマークをデザインいたしました。
院庄林業の社員の皆様が、お客様などに渡される名刺も、このロゴマークを大きく使ったデザインになっています。

院庄林業様の企業ロゴマーク

 

院庄林業株式会社 管理本部長の田原様から「社員にロゴマークに込められた意味を伝えたい」とお話しいただき、田原様とロゴマークを企画したデザイナーの吉田とで、対談をさせていただきました。

院庄林業株式会社 管理本部長の田原様(左)と、レプタイル株式会社 デザイナーの吉田(右)

企業の”歴史”、そして地域の”歴史”をあらわすコーポレートカラー『院庄ブルー』

田原さまロゴマークを作ってもらってから2年くらい経ちましたね。
名刺にも大きく入れているんですけど、たくさんのお客様がロゴマークについて「いいね!」とか「品があるね!」と言ってくださるんです。
名刺を差し出した社員みんなが「実はこのロゴマークにはこういう意味があって・・」という話ができるようになればいいな!と思っています。
そこで今日は、ロゴマークに込められた意味などを、改めて伺いたいと思いました。

吉田ありがとうございます!気に入っていただけて、とても嬉しいです。

田原さま名刺を渡したときに、皆さんよく言ってくださるのは、『色』についてですね。「深みのあるいい色ですね!」と。
この濃い青、紺色ですかね。これにはどういった意味合いがあるのでしょうか?

吉田紺色は『信頼感を与える色』です。それゆえに、企業のイメージカラーとしてわりとよく使われる色なので、「この色でいいのか…」と、実はかなり悩みました。
しかし、院庄林業様が歩んできた”歴史”、長年に渡り積み上げてきた”信頼”や、日本の家づくりを支えてきた”重み”を表現したいと思い、紺色を基調に企画しました。

院庄林業様の名刺。裏面には自分が大切にしている言葉を。

田原さまなるほど、信頼と歴史を感じる色ですね。
ひとくちに紺色と言ってもいろいろありますが、紫がかった紺色で考えられたのはなぜでしょうか?

吉田会社の歴史ということでお話ししましたけども、院庄林業様が本社を置いているこの「院庄(いんのしょう)」という、かつて天皇の領地だった土地の歴史も、この色で表現しています。
なので、一般的な紺色よりも、少し紫がかった気品のある紺色にしています。

田原さま鎌倉時代に、後鳥羽上皇(後鳥羽院)が荘園(しょうえん)として大切にしていた土地だから、「院庄(いんのしょう)」と言われているそうですね。

吉田そう聞いています。院庄林業様の会社の信頼や歩んできた歴史、そして「院庄(いんのしょう)」という歴史ある土地を拠点に事業をされていることを、この色で表しています。
弊社社内では『院庄ブルー』と呼んでいて、色のイメージが浸透しています。

ロゴマークの形は、企業の未来を印象づける八角形

田原さま先日、フィンランドの方に名刺を出したときに「形がかっこいい!」と言われたんです。『院』という漢字と、それを囲う八角形の組み合わせがアメイジング!だと。

吉田そうなんですね!海外の方にも好評でよかったです。

田原さまどうしてこういう八角形でデザインされたんでしょう?

吉田このかたちは、院庄林業様を象徴する木材で組んだ建物の骨組みのイメージと、八方位(東、北東、北、北西、南東、南、南西、西)を掛け合わせています。
八方位は古くから占いなどにも使われている”縁起”に関係するものですし、院庄林業様がいろんな方面に事業を拡大する未来を表しています。
現代から未来へ、理想の林業社会を実現する企業として、古い印象になってしまわないように「INNOSHO」をアルファベットで組み合わせ、これからも長きにわたって、社会や院庄林業様の社員の皆さまに親しんでいただけるデザインにしました。

「理念」「想い」など企業の本質を、共に明確にしていく

田原さまこのロゴマークが完成するまで、長い道のりでしたね。

吉田そうですね。最終的に決定されたものだけでなく、色を変えたものや、全くデザインが異なるものなど、たくさんのパターンを企画しました。

田原さま林業という言葉のイメージから「緑色がいいのではないか」という意見や、「いやいや、それでは新しい院庄林業は表現できない」という意見など様々あったなかで、このデザインに決まるまで、何度も打ち合わせして。

吉田皆さんが意見をたくさん出してくださったので、「院庄林業様が、社会においてどのような位置付けの企業なのか」「企業活動の中で、どんなことを大切にしている企業なのか」という本質的な部分を明確にしながら、ブラッシュアップすることができました。
デザインというのは、本来無形のものである「情報」を可視化する技術です。
その中で企業ロゴマークのデザインは、フォルムや線画の一つ一つまで「企業理念」や「想い」などをその中にこめていくものなので、打ち合わせを重ねて、洗練していく過程は必須ですね。

田原さまそうですね。うちは社名に「林業」と付いていますが、それだけではないということをロゴマークが語ってくれているので、このデザインになって良かったと思います。
シンプルにかっこいいですしね。

吉田ありがとうございます。

ロゴマークは「企業を表すキャラクター」

田原さま最後に、デザイナーとして、「ロゴマーク」というものについての想いを聞かせてもらえますか?

吉田ロゴマークは『企業を表すキャラクター』だと思っています。
自分の名前の前にマークがついた名刺を差し出すときに、社員の皆様が誇らしい気持ちを持っていただけるといいなと思います。
ロゴマークに込めた意味を掘り下げて聞いてくださり、そしてそれを社員の皆様に伝えていただけるということが、とても嬉しいです。

田原さま院庄林業のロゴについて、そしてデザイナーとしての想いもお聞きできてよかったです!
今日はありがとうございました。

吉田こちらこそ、ありがとうございました!

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