歴史の中で、
その役割をとって代わられたメディアや表現は
アートになって生き残るのだそうです。
権力者が存在を知らしめた肖像画や教会の教えを伝える宗教画が
「本」に役目を譲り芸術になったように。
そして1冊ごとに装丁を施し、
1字づつ刻むカリグラフィだったその「本」の製作方法も、
15世紀に発明され普及したグーテンベルグの活版印刷により、
広く伝えるメディアとしての「本」は
印刷でつくられるようになりました。
活版印刷では、
鋳造された活字を1字1字ならべて文章を組んでいきます。
文章を読みやすくする文字間や行間も、
手作業で調整する必要があり、
可読性の高い文字組み技術は、
まさに職人技。
とくに複雑な言語である日本語の編集ルールに基づいた文字組みは美しく、
活字から写植そしてDTPのデジタルフォントにその役目を譲った今では、
まさに「アート」と言ってもいいものになっています。
DTPのフォントは利便性に長け、
書体のデザインも豊富ですが、
デジタル全盛の今でも、
活字文字の独特で柔らかみのあるフォルムは人気があり、
活字のイメージを取り入れたフォントもつくられています。