レプタイル外部パートナー、ライターの老伽(おいとぎ)です。
11月17日にアートインク津山にて開催された、HomingスクールDay3をレポートします。
HomingスクールDay3では、株式会社CAMPFIRE 代表取締役の家入一真さんと株式会社わざわざ代表取締役の平田はる香さんに、「起業、新サービスのはじめかた」についてご講演いただきました。
ここ津山で家入さんと平田さんという超豪華な二人が同日に登壇するという奇跡!
開始前から熱気に包まれる会場
1.平田さん講演
まずは、山の上でパンと暮らしの道具を取り扱うお店「わざわざ」の平田さんが登壇。この日の平田さんの洋服は全て「わざわざ」で取り扱っているもの!平田さんの柔和な笑顔とは対照的にスタイリッシュな雰囲気が漂っていてとても素敵。商品に対する愛を感じます。自分で良いと思うモノを身に付けるのは大事ですね。
強さと柔らかさを兼ね備えた雰囲気がとても素敵な平田さん
■パンと日用品の店 わざわざについて
・店名の「わざわざ」は、わざわざきてくださってありがとうございます、という感謝の意味
・売上を集中するため、実店舗営業日は週3日。オンラインストアは通年営業
・朝9時までの注文で翌日発送という迅速な対応に、いい意味で「イメージと違う」と驚かれる
・通年商品を取り扱っており、季節商品はない=売れない商品は売らない
・震災がキッカケで何かできる人になりたいと思い、半年かけて薪でパンが焼ける窯をつくった
・クラウドファンディングで資金調達し、ボランティアと共に、倉庫と事務所とイベントスペースを創設
・自分の言葉で、自分の選んだものを毎日発信した
平田さんのお話に、真剣に耳を傾ける受講生
「わざわざ」の売上も順調に伸びてきて、よく「マーケティングが上手ですね〜」と言われるそうなのですが、平田さんはマーケティングという言葉さえ知らなかったというから驚きです。
■わざわざの情熱マーケティング
・何かをかえたいとおもっていても社会的なインパクトがある程度起こらなければ世の中は何も変わらない。世界の角度を1度でも変えていけ。市場を最大化する努力をする
・情熱を理念に変えろ。相手が大きい会社でも情熱が人を動かせる
・すべては誰かの幸せのために。友達よりも、同僚の方が近い関係。楽しい職場が大事。みんなで会議する。結果、取引先ともいい関係になる
・取引先もいい人じゃないといけない。人で吟味する
・幸せには色々あるけど、心身がいい状態は誰もがよいとするもの。これを理念に
・わざわざに来たからその地域で「温泉いってみよう」「ワイン買ってみよう」という様に波及し、落とし物みたいに幸せが地域に落ちていく
・心身ともにいいものであればオーガニックでなくてもよい。できるだけ添加物の少ない食品を売っている
・今までは欲しいものを売っていたが、生活に必要じゃないものもやりたい。余白をかんじるもの。日めくりカレンダーや月刊わざわざなど、無駄なものを作り始めた
「情熱が人を動かす。」平田さんのお話はとても刺さる
■情報発信について
・多面体を意識してあらゆるレイヤーに訴求することを心がけよう
・もんぺをnoteで売り出した。動画や画像も使い、かなりいい記事を書いたのに最初は全然売れなかった。諦めずに3回連続でもんぺの記事を書いて、他のSNSでも毎日発信しつづけた。「いいね」数は減っていったが、売上はあがった
経営者とお会いすると、平田さんと同じように、情熱や熱量がとても大事というお話を聞きます。確かにパッションを持っている経営者の方が好きであり、応援したくなります。
また、楽しい職場であるほうが心身ともに健やかであることは間違いないし、自分が心身健やかであれば、家族や同僚、そしてお客様や取引先、ひいては地域の人にも幸せが波及していく、みんなが幸せになれる構造は素晴らしいし、起業家にはどんどん真似して欲しいです。
また生活に必要なものばかりではなく、無駄=余白を感じる商品を作っているのは流石。確かに余白は生活に潤いや楽しみを与えてくれますよね。
■平田さんからのメッセージ
「徹底的にやれ」
平田さん、素晴らしい講義をありがとうございました!個人的には特に情熱マーケティングと地域貢献への波及の考え方が興味深かったです。
「落とし物みたいに幸せが地域に落ちていく」という言葉がとてもしっくり来たというか、そうなるのが理想だなと思いました。受講生のみなさんもSNSなどで発信しつづけることが大事ということが平田さんのお話から実感できたのではないでしょうか。
「わざわざきていただく」 から 「わざわざ回る」 フェーズに移行して全国を回っているそうなので、まだ平田さんに来てもらってない都道府県の方は今がチャンスです!
2.家入さん講演
さて、本日二人目の登壇は家入一真さん!
会場に「家入さん、遅れて来られるのでは…」という雰囲気が漂っていましたが、皆の期待(?!)を裏切り、時間通りに来てくださいました!
遅刻しないで来てくださった家入さん
■家入さん自身について
・10代後半の時にある事件がキッカケでいじめが始まり、ひきこもり・登校拒否に
・新聞奨学生として芸大予備校へ通うが、父親の交通事故や自己破産などで、自分が稼がないといけなくなり、絵を諦めて就職するが2回クビになり、最初の起業。paperboy&co.(現GMOペパボ)
・株式会社GMOにバイアウトし、29才でJASDAQ市場に最年少で上場
・社長を退任し、カフェやコワーキングスペース、ギャラリーなどをプロデュースし、運営
・国内最大規模クラウドファンディングサービスである「CAMPFIRE」、現代の駆け込み寺「リバ邸」、無料で簡単にネットショップを開設できる「BASE」などリアルやネットを問わず人の集まる場を創生
という、起業家からするとまさにゴッドのような経歴!いじめのきっかけになった「ある事件」、書きたいのはやまやまなんですが今回は自粛・・・。知りたい方は受講生に聞いてみてください〜!
・家入さん自身インターネット上で絵を公開していて、海外の人からもコメントがきた経緯があり、お金がない人やひきこもりでも人と繋がれるのではないかと思い、起業した
・29歳で最年少上場した際、「上場おめでとう!」と人から言われても嬉しくなく、間違ったレールに乗っている感じがあった
・個人と法人がわかれていく時に、個人として、違和感を感じ始め、代表を辞任
・居場所がほしくて居場所づくり。ネット上でやってきたことをリアルでも
・リバ邸で集まっていた人たちからBASEが生まれた。偶然の産物
生きづらさを感じている人たちが集まり、みんなで住めば生活コストが安くなる=収入をさげて生活コストを下げていくと、そこがキッカケになって、失敗しても戻ってこられる場所ができる。と始めたことからBASEができた、というのには正直ビックリしました。作ろうとして集まったわけではなく、集まったことがスタートアップにつながったという所が意外でした。
「インターネットに救われ、起業で自分の居場所ができた。」再現性はなくとも家入さんに救われた人たちもきっといるはず
■インターネットが可能にしたこと
・インターネットの本質=あらゆることの民主化=個人が力を持てる
・遠くに行ったものを身近に取り戻す
・動画配信、電子出版、音楽配信など発信することがスマホですぐできる。以前は特権だったもの(発信そのもの)が誰にでもできるように
・「BASE」のキッカケはお母さんが使えて、すぐネットショップを開ける場をつくりたいという想い
・「BASE」も「CAMPFIRE」も思想や理念は近い。誰しもが声を上げられ、居場所と出番のある世界を作る
・選挙に出た理由は政治的観点で居場所をつくるためと高齢者ばかりで自分たちの世代の代弁者がいなかったから
■若い世代にバトンを渡す
・高校生や大学生たちに、ベンチャーキャピタル「NOW」から出資している
・ここ10年で就職か起業か、という選択肢になってきている
・高校生でもちゃんと勉強している
さて、次のテーマに進みたいところですが、終了時間がせまってきました。
「うーん、どうしましょう?どうしたらいいですかね?」と悩みはじめた家入さん。
「キリのいいところまで延長しましょう!」との救いの声が運営側から出たので延長戦に突入。
「もう時間ないですよね?どうやってしめましょうか…」と反省しはじめる家入さん。とても人間らしくて微笑ましい。
■起業について
・今は色んな形で起業できる
・顔が思い浮かぶ身近な人に向けて、手紙を書くようにビジネスを作る
・いきなり大きなサービスの立ち上げを否定はしないが、誰が喜ぶかを考えることが重要
・当たりそうなアイデアでも、誰が喜ぶか思い浮かばないときは自分はやらない。それは自分ではなく他の人がやればよい
・不特定多数にむけて起業するのは苦手
・誰に向けてやりたいのか?何でやりたいのか?
・原体験や劣等感からの起業が好き
【原体験派vsマーケット派】
・起業するときに原体験が必要な人(原体験派)と必要ない人(マーケット派)がいるが、自分は原体験派
・なぜそれを自分がやるのか?理由はなに?マーケットがのびている人に投資する投資家もいる
【いつまで打席に立ち続けられるか】
・三振しまくっているが、心折れずに打席に立ち続けている
・辛い体験や劣等感、怨念みたいなものを持っているほうが、前に進んでいく力がある
・過去の辛い体験、劣等感、そう言った原体験から物語が生まれる
【起業家はストーリーテラーであるべき】
・物語があることで目に止まるし応援したいなと思うし、投資したいし、そのサービスを使ってみたいと思える
・物語に参加したくて投資する
・何かの指標で比べられるものには惹かれなくなってきている
・惹かれるのはエモーショナルなものや物語だったりする。そこにジョインしたくなる
「顔が思い浮かぶ身近な人に向けて、手紙を書くようにビジネスを作る。」自分ごととしてまず考えるのが基本なのかもしれない。
もっともっと家入さんからお話を聞きたいところなのですが、残念ながら時間もないのでトークセッションに。
3.トークセッション
平田さん、家入さん、Homing校長の丸尾さんがモデレーターとして参加。この3人のトークセッションが聞けるのは世界中でアートインクだけ!いや〜、ほんとすごいし感激。
先日平田さんに殺人予告が届いたという話からスタートし、起業家ならではの悩みを聞くことができました。
豪華なスリーショット!
家入さん
・強い人に思われがち。有名税とかいわれる
・弱さを隠すために鎧を着るタイプの起業家と、すぐ鎧を脱いじゃうノーガード戦法タイプの起業家がいる
・最初に弱さを見せておくことで、自分は人間だということを示す
・ひとりの人間として接して欲しい。対等な関係
平田さん
・かつてインターネットの世界は“裏の自分”だったが、“表の自分”を表現する場になってきている
・経営者の孤独についてインタビューを受けた時、さみしさを色で例えた。さみしさは水色。ファンシー
丸尾さん
・一卵性双生児だったので自分はいなくてももう一人がいる
・アイデンティディ崩壊おじさん
・一番嫌いな歌が、「世界に一つだけの花」。もう一人いるから
さて、ここからは受講生からの質問タイムです。どんな質問が飛び出すのでしょうか?
≪本を書いたきっかけはなんですか?また、アウトプットの秘訣は?≫
家入さん
・引きこもりの子たちのためにもなると言われたから書いてみた
・新しいサービスを出すときにポエムを書く
・世界観を伝えることを大事にしている。伝えたい人に伝えたい。誰に向けてどんなメッセージを伝えるか
平田さん
・部活の感覚で訓練。気持ちを込めてかく。会社概要を作っていて売ろうとしている。自分と向き合って書いている
・本質、根幹的なところは独善的に社長自身がむきあって決めていいと思う。サービスはみんなで作る
丸尾さん
・世界観を作るのは大事
≪経営者として、どの程度現場にコミットしていますか?≫
平田さん
・既存のことは手離れしている。回るようになってきた。分断して仕組みをつくる
・クリエイティブ部分が抜き出しづらい
家入さん
・理念とか思想は同じことを何度も話している
・自分だけ動くとダメで、動いてもらう時がくる。社員にも腹落ちしてもらうのが大事
受講生の質問に真摯に答えてくれるお二人
≪どのタイミングで起業するのがよいでしょうか?≫
平田さん
・起業したいときにやればいい
・こどもはいつでも大変なので子育てが落ち着くことはない
家入さん
・タイミングとかみてない。なるようにしかならない
・事前準備をやりすぎると怖くなって出来なくなる、踏み出せなくなることがある。どんどん出来なくなると思う。エイや、と踏み出してわかることもある
・したいときにするのがいいと思う
≪今後の目標はなんですか?≫
平田さん
・DJをしていたこともあり、表現したい
・会社にすると法人化するので個人でなにかしたい
家入さん
・表現したかったけど、社会に対して石を投げることが表現しているのと同じではと思えるようになった
・ありものの世界に馴染めなかった人が世界を自分に寄せる行為がアーティスティックなのかも
・起業家もアーティストもそういう意味では同じなのでは
≪弟が登校拒否なのですが、学校いかなくていいですか?≫
家入さん
・行かなくていいのでは。「夢を持て」とか好きではない
・世界はすごく広いし、大人になると色んな人に会える
・親は機会を提示してあげ、色んな選択肢というカードを渡してあげる
平田さん
・行かなくていい
・見守るのがよい
・自分の親も好きなようにやらせてくれたのが救い
もっともっとお二人に質問したいところですが、残念ながらそろそろ終了時間。
本当に時間が経つのを忘れるくらい、あっという間の3時間半!実際に起業して活躍しているお二人のお話を聞けて有意義な時間でした。
新規事業や起業するにあたり、情熱や物語の話はとても参考になったと思います。平田さん、家入さん本当にありがとうございました!
「Homing」スクールDay4は、11月25日(日)隼Lab.にて開催。
株式会社トリクミ 代表取締役古田琢也さんをオブザーバーに、津山のスクール生と鳥取の起業家との交流会を行います。
また、12月23日(日)に津山市立図書館にて、ビジネスプラン発表会を開催します!スクール生20名の集大成にご期待ください!
▼観覧のお申し込みはこちらから
https://homing-tsuyama.jp/exhibition/