2016年3月、グーグルの囲碁AI「AlphaGo」が、
世界チャンピオンに4勝1敗で勝利しました。
囲碁はその戦略や手順が複雑で
「AIが人には勝てない。ブレイクスルーには10年かかる」
と言われていました。
対局を見た棋士は、AlphaGoの性能云々よりも、
「感覚」や「対局感」が人に勝っていたと感じ
「ついにこの時が来たか」
との思いだったようです。
AlphaGoには、はじめ囲碁のルールすら組み込まれておらず、
対局を繰り返し、勝った時、負けた時の状況を分析して記憶する
「ディープラーニング」という技術が使われたそうです。
つまりAlphaGoは対局を重ねれば重ねるほど強くなり、
3000万局の自己対局の末、世界チャンピオンにも勝るAIに「成長」したのだそうです。
ところで「シンギュラリティ」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。
日本語に訳すと「技術的特異点」。
技術の進歩で、
AIが人間の能力を超えることで起こる出来事を意味します。
そしてある予測では、それは2045年に起こるとも言われていています。
SFのような話ですが「AlphaGo」や「ディープラーニング」のことを知るとあながち空想ではないかもしれませんね。
シンギュラリティ研究の中には、本当にSF映画のように、
それは人類にとって危険なことだとするものもあり、今も活発に研究が進められているようです。
さて、そんな未来の人類規模の大きな話ではなく、私たちの身近では、
例えばデザインの仕事にとって、それはどんな影響をもたらすのでしょうか。
人の頭脳を超えるAIであれば、
求められる条件にあったデザインを最短の時間で制作するのはお手のもの。
また、そもそもそんな時代なら、その情報を受け取るのも、人であるかどうか怪しいもので、そうなると「デザイン」そのものが不要になっているのかもしれません。
そして、そこまでいかない今でさえ
「デザイン」は「テンプレート」や「システム」にすり替わっているようにも感じます。
例えば、シンギュラリティ後、AIが人類に敵対的でなかったとしても、それまで人間がしていた仕事の大部分をとって代わってしまうのだとしたら、それは大いに人類滅亡級の危機なのかもしれません。
「このままデザイナーも絶滅してしまうのか」
なんてまさに予告編のナレーションのようですね。